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国内アーティスト

Emerging artists

2007年 3月 18(日曜日)

桑久保徹さん

投稿者 mori in 国内アーティスト
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すでに小山登美夫ギャラリーの作家として活躍し、高い評価を得ている作家ですからご存知の方も多いでしょうし、あえて新しく紹介する必要もないかも知れません。それでも取り上げたのは今後もこの作家を見逃すわけにはいかないと感じるからです。
言葉にすれば、ゴッホ的手法の意図的な採用、古典への参照、絵画性の復権、色濃い物語性などをこの作家の特徴として即座に挙げることができるでしょうが、彼の作品は、そんな言葉による単純なラベリングを拒否するインパクト、拡がりを持っています。作品そのものが見る者を、ただ見て、感じるスタンスに誘い込む力を持っています。それこそが作家が固執する「絵画性の復権」です。そして私たちが画面から感じるものは、おそらくは背後にある「存在するものとその消滅」という普遍的なテーマから生まれる哀切な感情です。たんなる技巧やアイデア、見せ方などではなく、平面世界だけから私たちの感情を喚起できる作品に出会うことは稀です。
桑久保さんは今後も日本のアートシーンの一角を占める作家として活躍していくでしょう。期待したいと思います。なお、韓国のdoART Galleryで今月31日まで桑久保さんの個展が開催されています。掲載した作品イメージはこの個展出品作品のものです。

作品画像引用:doArt Gallery 発行カタログから

 

2007年 3月 13(火曜日)

小橋陽介さん

投稿者 mori in 国内アーティスト
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1980年生まれ、関西在住の小橋陽介さん、昨年のVOCA展や水戸芸術館での出品作品、さらに夏のGallery MoMoさんでの個展で密に注目を集め、今後が期待される若手作家です。
妙に突き抜けた明るさと、妙に重くない暗さが同居したユニークな作風ですが、特筆すべきなのはドローイング風に、さまざまな姿態の自画像、動物や鳥たち、森や林、樹木の自然などで構成されている要素がそのまま画面にぶつけられながら、しかもその交錯と融合の中から反射されている"自由な精神"のオーラです。
コンテンポラリーアートの世界でも、自由な精神に出会うことは稀で(そんな精神を保持している作家はと考えてみると、代表選手は会田誠さんや束芋さんたちでしょうか)、この作家の資質は貴重です。さまざまなしがらみから自分を解き放ち、表現するのはそんな簡単なことではないからです。今後の展開が要注目の作家です。
現在、Gallery MoMoさんで"forerunner & four eggs"と題された二人展が開催されていますが、その企画の一環として、4月17日から28日まで小橋陽介さんと坂田祐加里さんとの二人展があります。ぜひ足をお運びください。

作品画像引用:Gallery MoMoさんのHPから

 

2007年 2月 8(木曜日)

植木庸子さん

投稿者 mori in 国内アーティスト
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ことし女子美大を卒業する新鋭の作家で、現代のさまざまな光景を日本画に取り込んで表現しています。絵巻物風の時間展開を含む空間に現代の光景を細密に描きこむところは山口晃さんを彷彿とさせますが、山口さんと違って植木さんのテーマは社会風刺ではなく、私たちをとりまく日常的な光景です。

しかし別におどろおどろしい合戦ではなくても、平凡な日常を絵巻物空間に細密に移しこんだ植木さんの作品は私たちの内部で異化作用を引き起こし、私たちに新鮮な驚き、愉悦を感じさせてくれます。

私たちが絵巻物風の空間に惹かれ、馴染むのは私たち日本人の遺伝子に組み込まれた美意識のせいなのでしょうが、その美意識をアプロプリエイトしながら現代を表現する手法は若い日本画家たちの間で広がり始めていて植木さんもその流れの中にあると言えるでしょう。しかしアプロプリエイトは必ずしも美や愉悦を排除するものではありません。植木さんの作品にも紛れもなく美が顕現しています。今後大成する可能性を秘めた作家で、楽しみです。なお下記作品は第42回神奈川県美術展で準大賞を受賞した作品です。

作品画像引用:神奈川県民ホールギャラリーのwebsiteから

 

2007年 2月 7(水曜日)

小寺絵里さん

投稿者 mori in 国内アーティスト
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小寺さんは大阪のO Gallery eyesで作品を発表している作家で以前から気になっていました。作品は、風景や動物をミニチュア的、盆栽的世界で表現した作品や、寝具の皺を山並みに見立てたドローイングなどですが、見る者は見慣れた日常的な光景を異次元から見ているような感覚に襲われます。

忙しい生活の中でもふとした瞬間に幸福感を覚えたり、あるいはちょっとしたことに不吉なオーメンを感じ不安になったりするのが私たちの日常ですが、小寺さんの作品はそんな日常に潜んでいる"ケ"の瞬間を「異次元的」に再現することで、あらためて私たちの日常へのまなざしを再考させてくれる「異化作用」を持つといってもいいでしょう。今後そんな「異化作用」をさまざまなメディアで体験させてくれそうで楽しみです。

    

作品画像引用:O Gallery eyesのwebsiteから

 

2007年 2月 2(金曜日)

依田 梓さん

投稿者 mori in 国内アーティスト
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昨年、第11回のリキテックスビエンナーレ大賞を受賞した依田梓さんは、今年大学を卒業する若手です。しかし、内面にある原初的で、流動的なイメージを具象的な形としてビビッドに表現することにおいて、つまりは絵画が本来的に持つ機能を引き出すことにおいて優れた力を持っています。
下に掲載した受賞作「The water hole go up to the mountain」について作家は、大要「古代的な人間が自然との関わりの中で、世界をどう見ていたかは現代にも通じる普遍的なものがあり、それを描きたかった」とコメントしていますが、確かに有機と無機の区別はなく両者が混交し、往還していただろう古代の人間の神話的世界を感じることができ、印象的です。たぶん私たちの中には、ユングが指摘したような曼荼羅に象徴される古代的なイメージが今でも生きていて、それが彼女の作品によって触発され引き出されるののかも知れません。
作家はドローイングも数多く描いていますが、それもたぶん瞬間、瞬間に「無意識から流動的に生成してくる形」を取り出そうとするためだと思われます。それらの形を絵画として取り込み、具体的な形を与えるのはまた別の作業になります。しかしこの作家の場合、生成した原初的なものが殺されずにより力強く生かされていて、画面全体に流動的なものを感じます。そこにこの作家の優れた資質があるようです。
今後に期待したい作家です。

作品画像引用:リキテックスビエンナーレ大賞紹介ページから

 

2007年 1月 31(水曜日)

櫻井りえこさん

投稿者 mori in 国内アーティスト
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櫻井りえこさん2005年のGEISAI出品から注目を集め、2006年には村上さんのディレクションで、加藤遼子さんたちと並んでGEISAI GIRLSに選ばれています。しかし、GEISAIでの活動は彼女の活動の一端に過ぎず、地元茨城県水戸では美術館企画展への出品を含め、2000年初頭頃から展覧会を重ねてきた実績のある作家です。私たちのギャラリーで今年の11月に個展を開催する予定なので、手前味噌になってしまうかもしれませんが、これから期待できる作家としてここで紹介しておきたいと思います。

個展の開催に向けて、これまでの作品を通覧したのですが、彼女の作品の持つパワーを改めて感じました。このパワーを含め、彼女の作品の魅力はまだまだ知られていないと思います。一見しただけでは、その魅力は大きく描かれた「可愛いキャラクター」から来ていると感じられるかも知れませんが、決してそれだけで人を惹きつけるわけではありません。

彼女の作品を「顔」に着目して評価する批評があります。確かにとりわけ眼の表情には思わず引き込まれます。しかし、それだけでなく下に掲載した作品などがそうですが、人間の原初的な、不安と欲望が混交した生のあり方を一つの形姿として取り出し、ビビッドに描き出しているところに彼女の作品のほんとうの魅力があると思います。かって、フランスのポストモダンの哲学者ドゥルーズは人間存在を欲望の原器形態である「器官なき身体」という概念から把握しようとしたことがありますが、下の作品で描かれている身体はそんな「器官なき身体」を連想させます。あるいは、少しオーバーなアナロジーかも知れませんが、ベーコンの描く溶解する肖像画ともどこかで繋がっているとも感じます。
彼女の作品に登場するキャラクターたちは確かに可愛い顔を持ち、その身体も形を持っていますが、どこかに原初的な存在の闇を抱え、闇へと溶解しています。作家にとって、具象的な肖像で抽象的な次元を表現するのは至難ですが、桜井さんはその才能を持つ一人です。
「Artists and works」の櫻井さんのページで作品を見ることができますので、ぜひご覧ください。

作品画像引用:当サイト「Artists and works」から

 

2007年 1月 27(土曜日)

灰原 愛さん

投稿者 mori in 国内アーティスト
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現在、ふたば画廊さんで個展を開催している灰原愛さんの彫刻が魅力的です。作家のコメントによれば、下の作品は少女から大人の女性への成長の過程で得たものと失ったものの狭間で揺れ動く気持ちを表現したいというモチーフで制作されたようですが、確かに微妙な心理を感じることができ、狙いは見事に達成されているように思います。
そもそも人体彫刻は人間の延長として可愛いさ、不気味さなど臨在感があるものですが、灰原さんの作品は可愛さと同時に哀愁、切なさが巧みに表現されていてその手腕には並々ならぬものがあります。
コレクターのS氏によれば近年の傾向として彫刻の絵画化が言われているとのことですがが、作品の表情を見ていると確かにその流れにあると思います。実のところ、彫刻に魅力を感じることはなかなかないのですが、灰原さんの作品には思わず見とれてしまいました。今後に期待したい作家です。

作品画像引用:フタバ画廊HPから

 
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